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【ニュース】子ども家庭福祉ソーシャルワーカー創設について思うこと

https://news.yahoo.co.jp/articles/3614bf9737b88c54edaf952a41028022b16d0bbb

厚生労働省が子ども分野の新たな資格について厚労省は子ども家庭福祉ソーシャルワーカー(仮称)を創設する案を発表。国家資格化は見送り、原則として社会福祉士などの既存資格に上乗せして認定する仕組みとした。反対の声もあり今後どうなるか定かではないが、徐々に全容がみえてきた。

ざっくり言うと、社会福祉士・精神保健福祉士に保育士課程で学ぶような科目を修めさせて児童領域に対応できる人材を創るということである。

確かに、社会福祉士の養成課程において児童領域を学ぶ時間は少なく、どうしても表面的な知識しか習得できない。国家試験のためにひたすら暗記して、試験が終わったら全て忘れてしまうような内容だ。2021年度からは新カリキュラムとなり実践的な内容が大幅に追加されたが、15コマの授業数では限界がある。(実際に専門学校で講義しているが時間が全く足りない)

児童領域の経験ゼロでスクールソーシャルワーカーの職に就いた私からすると、これらの科目を全て修めてから現場に出たかった。「児童家庭福祉の専門職、スクールソーシャルワーカーです」と学校に赴いても、校長や生徒指導、行政の子育て支援に携わる保健師や保育士の方が知識や経験が豊富であり、いてもいなくても変わらない存在になってしまったからだ。

そんな現実を目にしている私からすると、この資格のベースを社会福祉士、精神保健福祉士に限定すべきでないと反対する声が上がるのも無理も無いと思える。しかし、それでも資格のベース化は必要であると考える。

それは、この仕事を続けるためには組織のサポートが必要だからだ。どんなに資格や経験を持っていようが、虐待問題において家庭、所属機関、関係機関との間に立たされるこの仕事して精神を消耗しない人はいないだろう。そんな支援者をサポートする職能団体のヘルプやスーパーバイズの仕組みは不可欠であり、全国一斉にこの仕組みが作動するのであれば、複数の職能団体が絡んだり新設することは困難ではないだろうか。

また、家庭全体を捉えた虐待予防、親子分離を伴う保護的介入の際には、家庭全体へのソーシャルワークが必要となる。介護問題やヤングケアラー、8050問題などあらゆる家庭の問題に気づき、他の制度やサービスに繋ぐ役割も担うことも考慮すれば、現状児童領域に「弱い」とされている社会福祉士や精神保健福祉士であっても、将来的に専門性が効果的に発揮されるのではないだろうか。

その専門性の中には社会資源の創出や掘り起こしなども含まれるが、その点も「弱い」と指摘されるかもしれない。

日々研鑽が必要である。

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